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【ブックレビュー】不格好経営―チームDeNAの挑戦/南場智子

DeNAの歴史を臨場感たっぷりに味わうことができたのは何故だろう?
と考えたときに、様々な苦難とそれを乗り越えていく様子が具体的であるのとともに、
少しくだけた文体というのが一役買っていると思いました!

また、南場さんの素敵な人柄がストレートに感じられ、
文中でご本人は“「南場さんについていきます!」といわれても困る”
というようなことを言及していましたが、
こんな人の下で働きたいと人が集まってくる理由が分かる気がします。


自己の成長について

結構グサッときた部分で、

成長はあくまで結果である。給料をとりながらプロとして職場についた以上、自分の成長に意識を集中するのではなく、仕事と向き合って欲しい。それが社会人の責任だ。そして皮肉にも、自分の成長だへちまだなどという余裕がなくなるくらい必死になって仕事と相撲をとっている社員ほど、結果が出せる人材へと、驚くようなスピードで成長するのである。(P216)

というのがありました。

あんまり会社に期待しなくなって、ブーたれて、
「このままじゃ自分、成長できない!転職しよう!」
ってな感じでコロッと転職してしまう人が増えている現実もあるのかなと思いますが、
(まぁ今のところ私にはあっさり転職する心積もりは無いのですが)
社会人として仕事と向き合うということが
自分の成長にもつながるのかなと思うところがありました。

「新しい技術を身に付けよう!」とか「セミナーや勉強会に参加しよう!」というように、
自分を奮い立たせるアクティビティはもちろん重要だと思いますが、
その延長線上では常に仕事を意識して、
「この技術はこう活かせるな!」とか「この施策はこういう効果を出せるんじゃ無いかな!?」と
自分中心ではなく仕事に還元していくという意識を忘れないようにしたいです。


組織・チームの意識

DeNAでは「誰が言ったかではなく何を言ったか」という表現を用いて、「人」ではなく「コト」に意識を集中するように声を掛け合っている。誰がが言ったことが常に正しいと思ったり、誰かに常に同意するようになったら、その人の存在意義がなくなるし、“誰派”的な政治の要素ともなり、組織を極端に弱くする。(P221)

トップダウンが強い会社だったり、社長にものすごいカリスマ性があったり、
企画グループ・開発グループのように明確な住み分けがあったりすると、
「社長は天才!言ってる通りにすれば大丈夫!」とか
「社長が言ったから(意味ない気がするけど)やろうか」とか
「とりあえずやってる感出しとくか(進捗みせるか)」
っていうような考え方を持ってしまう雰囲気はあると思う。

実際、「人」ベースで考えると、「なんかあの人とは馬が合わない」とか「やりづらい」とか、
判断に感情が持ち込まれるというのは人の気持ちとして誰でもあるものだと思います。

そんな中で、組織として「コト」に集中する文化が浸透しているのはすごいと思うし、
まさに今の私の状況に必要だなぁと感じています。


最後はやっぱり・・・「気持ちが大事」

なぜここまで減少できたのか、決め手は何だったのか、と問われた春田は、「気合いです」と答えている。(P128)

2007年頃、出会い目的での利用をする悪意あるユーザーとの接触により、
(そもそもモバゲーでは出会い目的の利用は禁止なのだが)
未成年が犯罪に巻き込まれてしまうという被害が発生してしまったようだが、
サイトパトロールの強化や18歳未満のユーザーを対象にした機能制限など、
大小様々な施策を実施した結果、コミュニティーサイトとしては
圧倒的規模を誇るにもかかわらず、
事故・被害件数が大手事業者の中で最小という成果を導き出したそうだ。すごい。

「気合いを入れろ!」、「モチベーションをあげろ!」というような、
精神論で訴えかける体育会系の上司や社長などのトップダウン
「気持ちで何とかなるわけないっしょ??(呆)」
と、うんざりしてしまう場面もあるかと思います。

が、「気合い」以外の要素(戦略・戦術・ゴールなどなど)が重要なのはもちろんですが、
とはいえ、最後の最後のところで、
「気合い」や「根性」は結果を左右するひとつの要因であることは
揺るがない事実なのかなと思います。


不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦