自分が持っている常識が覆される感じというのか、
すごい心揺さぶる内容の本でした。
なかなか1回読んだだけでは、本書の中に登場する「青年」の心理状態のように、
論理的には理解できるような気がしても、感情的には理解し難い…
という感じの印象を受けています。
しかし「読む前と読んだ後では考え方変わったかも。」と思えるくらい、
本書には今まで自分が持っていた常識とは異質な考え方があり、
1つ新たな軸というか考え方ができるようになったんじゃないかなぁと思います。
アドラー心理学
「アドラー心理学」をご存知でしょうか??
私はまったく知らなかったです 笑
アドラーはフロイト、ユングと並ぶ世界的な心理学の三大巨頭のひとりなのだそうですが、
そもそも私は心理学に明るくないので、フロイトの名前で思い浮かんだのも、
「なんつー夢見ちまったんだ、フロイト先生も爆笑だっぜ」
という、涼宮ハルヒの憂鬱でのキョンのセリフが思い浮かんだくらい無知な状況で読み始めました。
目的論と原因論
アドラーとフロイト、ユングの心理学の大きな違いは、
「目的論」か「原因論」かということだそうです。
このふたつの違いが出てくる哲人と青年の対話の中で、
アドラー心理学ではトラウマは明確に否定している
と言及しています。
「!?どういうこと?」
即座に頭の中には「?」が 笑
しかし、読み進めていくうちに、
私の中ではこのふたつの理論をこうとらえることで落ち着きました。
「トラウマ」があるから「人の前でうまくしゃべれない」(原因論)
ではなく、
「人の前でうまくしゃべりたくない」から「トラウマ」のせいにしている(目的論)
こう考えると割とシックリくる。
私たちは無意識のうちに、
「原因論」の考え方をしている場合が多いらしく、私も例に漏れずそうだったようで、
トラウマは存在しない
という論法には正直面食らった部分があるのですが、なるほどそういうことかと今では理解できている気がします。
対人関係の悩みと課題の分離
すべての悩みは「対人関係の悩み」である
これも即座に理解できない一説 笑
ですが、本書の中で出てくる「課題の分離」でとらえると少しづつ理解できる気がしてきます。
アドラー心理学とは、他者を変えるたための心理学ではなく、自分が変わるための心理学です。(P115)
と哲人も言っておりますが、
ある事象が「自分の課題」なのか「他者の課題」なのか、線を引き、
自分にはどうすることもできない「他者の課題」を区別することができれば、「自分の課題」に対して自分がどう変われるか?に重点を置いた考え方ができそうです。
自らの生について、あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです。一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です。(P147)
なるほど、
自分を変えることができるのは自分しかいない
のだなぁと。
そして、
われわれの努力とは関係なく、わたしのことを嫌う人もいれば、あなたのことを嫌う人もいる。
という考え方は確かに当然なんですが、今まで考えたことのなかった、
目からウロコの考え方でした。
ニーバーの祈り
「神よ、願わくばわたしに、変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを常に見分ける知恵とをさずけたまえ」(P229)
キリスト教社会で古くから口承されてきた「ニーバーの祈り」という有名な言葉で、
そこから哲人も
われわれは何かの能力が足りないのではありません。ただ"勇気"が足りていない(P229)
と言及しており、なるほど勇気かと感じさせるのですが、
「この一説どっかで聞いたことあるな…」
と思い記憶をたどってみると、ありました!
変えられないものを受け入れる力
そして受け入れられないものを
変える力をちょうだいよWait & See〜リスク〜/宇多田ヒカル
近くないすか??笑
感謝をつたえること
人は感謝の言葉を聞いたとき、自らが他者に貢献できたことを知ります。
他者から「よい」と評価されても、人は貢献できたとは感じず、
自らの主観によって「わたしは他者に貢献できている」と思えることで、
自らに価値を感じるようになるそうです。
自らが人に対して、「評価」ではなく「感謝」を伝えることによって、縦の関係ではなく、横の関係が築かれる。
あらためて「ありがとう」って感謝を伝えることは大事だなぁと。
まとめ
幸福とは貢献感
であり、
「他者に貢献するのだ」という導きの星さえ見失わなければ、迷うことはないし、なにをしてもいい。(P280)
「アドラー心理学」の今まで自分の中にあった常識とは異質の考え方を理解し、それのいい部分を勇気を持って自分の中に取り入れることができれば、少しずつでも未来は明るくなるのではないかと思います。
- 作者: 岸見一郎,古賀史健
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/12/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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メモ
「いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗でもない。われわれは自分の経験によるショックーいわゆるトラウマーに苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える影響によって自らを決定するのである」(P28)
いまの自分よりも前に進もうとすることにこそ、価値がある(P93)
アドラー心理学とは、他者を変えるたための心理学ではなく、自分が変わるための心理学です。(P115)
われわれは「他者の期待を満たすために生きているのではない」(P135)
自分が自分のために自分の人生を生きていないのであれば、いったい誰が自分のために生きてくれるだろうか(P135)
あらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むことーあるいは自分の課題に土足で踏み込まれることーによって引き起こされます(P140)
自分を変えることができるのは、自分しかいません(P143)
自らの生について、あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです。一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です。(P147)
困難に直面することを教えられなかった子どもたちは、あらゆる困難を避けようとするだろう(P154)
われわれの努力とは関係なく、わたしのことを嫌う人もいれば、あなたのことを嫌う人もいる。(P161)
他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを恐れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。(P162)
あなたは他者によく思われたいからこそ、他者の視線を気にしている。それは他者への関心ではなく、自己への執着に他なりません。(P183)
ほめるという行為には、「能力のある人が、能力のない人に下す評価」という側面が含まれています。(P197)
誰にでも自分が生産者の側で居られなくなるときがやってきます。(P249)
人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないことです。(P275)